清水誠治法律登記事務所

法定相続人の範囲

法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは

3年以内に何をしなければいけないか?

民法が「相続の際に遺産を受け取れる権利がある人」と認めている一定の相続人のことをいい、被相続人の血縁者を4つのグループ(配偶者/子/親や祖父母/兄弟姉妹)に分けて相続の際の優先順位を決めています。

必ず法定相続人になる配偶者

被相続人の法律上の配偶者は、必ず法定相続人になり(民法890条)、相続の際に大きな権利を有します。配偶者とは、被相続人の法律上の妻や夫のことです。 民法では法律婚主義を採用しており(民法739条1項)、内縁関係や事実婚関係のカップルに対する一定の保護はあるものの、相続における「配偶者」は法律上の配偶者だけを指しており、事実上の配偶者に関しては法定相続人としての権利は保障されません。 したがって、ここでいう配偶者は「被相続人死亡当時の法律上の配偶者ただ1人」のことをいい、仮に被相続人の死亡当時に別居や離婚について争いが生じていたとしても、法的な婚姻関係が継続していれば、その配偶者は法定相続人になるということになります。 なお、配偶者は常に法定相続人になりますが、血族相続人のうち一番順位の高いグループの相続人と共に相続するのが原則です。

血族相続人第一順位:直系卑属(子や孫)

被相続人の子は、法定相続人の第一順位(民法887条1項)として数えられ、胎児(民法886条1項)や認知した非嫡出子、養子縁組をした養子なども相続権を有するとされています。第一順位の相続人が1人でも存在する場合には、次の順位の相続人に相続権は与えられません。 子どもが複数いる場合には第一順位の権利を等分して分け合うことになりますが、血縁の有無や年齢などによる差別はなく、全員が等しい割合で相続権を獲得します。 例えば、相続が発生した際に、まだ生まれていない胎児と、既に産まれている子と、被相続人の生前に養子縁組した養子の3人がいる場合には、第一順位の血族相続人が3人=それぞれ3分の1ずつ相続権を獲得するということになります。 また、被相続人の子が被相続人よりも前に死亡したなどの理由で相続権を失っている場合に、その子にさらに子どもがいた場合には、この子ども(被相続人の孫)が相続権を失った子の権利を承継し、代わりに相続をするという代襲相続が発生します。 代襲相続が発生する場合には、この代襲相続人も第一順位の相続人として数えられることになるので、第二順位以下の相続人に相続権が与えられることはありません。

血族相続人第二順位:直系尊属(父母・祖父母)

被相続人の父母や祖父母などの直系尊属は、第二順位の血族相続人とされており、第一順位の相続人がいない場合に初めて相続権を獲得します(民法889条1項1号)。例えば子や孫がおらず、父母がいる場合などです。 このとき、被相続人の父母や祖父母も健在であるような場合には、被相続人により親等の近い父母の代だけが相続人となり、祖父母には相続権がありません。 また、ここでいう直系尊属には、実親のほか養親も含まれることになります(ただし、特別養子縁組の場合には養親のみが直系尊属にあたります)が、直系尊属に関しては代襲相続の権利はありません。

血族相続人第三順位:兄弟姉妹

被相続人の兄弟姉妹は、被相続人に直系卑属と直系尊属がいない場合に初めて相続権を獲得します(民法889条1項2号)。例えば子や孫、父母、祖父母もいないような場合です。 このとき、被相続人の配偶者の兄弟など義理の兄弟姉妹には、原則として相続権がありません。 また、兄弟姉妹は直近1代に限って代襲相続が認められており、被相続人の甥姪までは相続人になる可能性がありますが、異母・異父の兄弟姉妹に関しては相続分が少なく設定されています。

法定相続人に関するよくある疑問

養子は法定相続人になれるのか?

被相続人が生きている間に養子縁組をした場合、その養子は被相続人の子として血族相続人第一順位に数えられることになります。 相続では、実子と養子で相続分に差はなく、また養子の人数にも制限はありません(※相続税法上では控除の人数計算の際に制限があります)。 さらに、普通養子縁組の場合は、養子と実親の法定血族関係は切れないことから、養子は養親・実親双方の相続権を有することになります。逆に、特別養子縁組の養子の場合は法律上養親の実子として扱われることから、養親の相続権はありますが実親の相続権はありません。 なお、被相続人の生前に養子縁組をしていない連れ子に関しては、法定相続人になれませんのでご注意ください。

前妻や前夫は法定相続人になれる?

前妻や前夫など既に離婚が成立した元配偶者は、原則として法定相続人になりません。 例外的に、離婚後同じ相手と再婚が成立し婚姻関係が継続している場合には、死亡当時の配偶者に該当し配偶者相続人となりますが、それ以外の場合(例えば離婚後事実婚状態にあったなど)では配偶者としての相続権は一切付与されません。 なお、別居や離婚調停中など婚姻関係が明らかに破綻していた場合でも、法律上婚姻関係が継続している場合には、片方が死亡した際に残された他方配偶者は配偶者相続人になります。 このとき、残された配偶者に既に恋人がいたり、新たなパートナーと事実婚状態であったなどの事情があっても、相続権には影響を及ぼしませんし、死亡した配偶者に他のパートナーなどがいても、このパートナーは保護されませんのでご注意ください。

前妻や前夫の子は相続人になれる?

子どもの相続権は、被相続人との関係性でその有無が決まります。つまり、亡くなった方の前妻や前夫の子が実子であれば、現在の親権の所在にかかわらず、その子には相続権が付与されます。 しかし、あなたの配偶者が亡くなった場合のあなたの連れ子の相続権という意味では、被相続人との養子縁組の有無によって相続権の有無も決定され、被相続人の生前に養子縁組をしていた場合には血族相続人となりますが、そうでない場合にはその子に相続権はありません。

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