清水誠治法律登記事務所

山林の相続

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山林を相続する場合は、下記の点が問題となることがあります。
・山林を相続しても活用できず、手放そうとしても買い手が見つからず、毎年税金や管理費用がかかる ・誰も山林を相続しようとしないため、遺産分割協議がまとまらない
・相続人全員が相続放棄をしたために、山林の管理を免れられない
以下ではこのような問題を回避するための方法を説明します。

山林を手放す方法

山林「だけ」の相続放棄はできない

よく「山林だけを相続放棄することはできるか」という相談されることがあります。しかし相続放棄は、相続する人が亡くなった人の権利や義務を一切引き継がないことを選択することになります。そのため、山林「だけ」を相続放棄することはできないのです。つまり、すべて相続するか、何も相続しないかを選ぶ必要があります。

遺産分割協議による交渉

3年以内に何をしなければいけないか?

山林は相続したくないけれど、他の遺産は相続したいという場合は、自分が希望する遺産を相続できるように、他の相続人全員と遺産分割協議において交渉することで、実現できる可能性があります。 しかし、価値もなく維持・管理費用だけかかるような山林を他の相続人が相続してくれる可能性は低いため、望み通りの遺産分割をすることは困難となります。

売却

また、相続しておいて、後から山林だけ手放すことはできれば、山林以外の遺産を所得しつつ、山林の管理義務から解放されることができます。 この点については、買い手がつくような山林であれば、後からでも手放すことが可能ですが、買い手がつかない山林を手放すことは難しいでしょう。

寄付

選択肢としては、誰かに寄付することぐらいしかありませんが、使い道がなく買い手もつかない山林は、只でももらってくれる人は中々見つからないでしょう。 寄付の受け入れ先として可能性がありそうな先としては、次のようなところが考えられます。
・自治体
・隣地の所有者
・公益法人
・自治会、町内会
しかし、寄付を受け入れてもらえる可能性はあまり高くないので、実質的に相続放棄が手放す最後のチャンスと言っても過言ではないでしょう。

相続放棄すべきかの判断基準

プラスの財産よりもマイナスが多ければ相続放棄

Business woman thinking account

通常、相続放棄は、プラスの財産の価額よりも借金等のマイナスの財産の価額の方が大きい場合に利用されます。そのような場合に相続すると、相続人が損してしまうからです。

相続税・固定資産税と管理費用もマイナスの財産と考える

同様に、山林以外に特に財産がなく、しかも、その山林が使い道も価値もないという場合に相続すると、山林の維持管理費や固定資産税を延々と負担し続けなければならなくなり、相続人が損してしまいます。 このような場合もまた、相続放棄した方が得であるといえるでしょう。つまり、山林の使い道や価値がない場合は、負債と同様に考えて、遺産のプラスの財産と天秤にかけて、プラスが大きければ相続し、マイナスが大きければ相続放棄をするという判断をするのがよいでしょう。

買い手が付きそうな場合

山林に買い手がつきそうな場合は、「山林を含めた遺産の価値」から「土地の売却にかかる費用」を差し引いて、プラスになるかマイナスになるかによって、相続するか放棄するかを決めるとよいでしょう。 山林に買い手が付きそうかどうかや、山林の売却にかかる費用については、森林組合に相談するとよいでしょう。

山林の相続手続き

法務局での名義変更(登記)

登記

森林の土地については、後述の「所有者届出」が義務であり、届出前に登記を済ませておかなければならないことから、間接的に登記義務があるといえます。

区市町村への「所有者届出」

森林の土地を新たに取得した人は、土地の所有者となった日から90日以内に、取得した土地のある市町村の役所に「森林の土地の所有者届出書」と添付書類を提出して、届出をしなければなりません。 届出期限は、登記から90日以内ではなく、土地の所有者となった日(相続開始の日)から90日以内です。 期限内に遺産分割協議が調わない場合でも、期限内に届出が必要となり、法定相続人の共有物として届出ることとなります。 その場合は、遺産分割協議成立後90日以内に、改めて届出が必要です。 添付書類として、登記事項証明書(写しも可)又は土地売買契約書など権利を取得したことが分かる書類の写し、土地の位置を示す図面が必要です。 つまり、届出前に登記を済ませなければなりません。なお、届出をしないか、又は、虚偽の届出をしたときは、10万円以下の過料(金銭を徴収する行政処分)が科されることがあります。

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