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相続人は、相続により、被相続人が有していた一切の権利と義務を承継します。したがいまして、プラス財産だけではなく、借金などのマイナス財産も遺産(相続財産)として承継します。遺産(相続財産)に含まれるか否かが問題になるものとして、以下のものがあります。
相続財産には含まれず、保険契約の効果として、受取人として指定された特定の相続人の固有財産になります(最判S40.2.2)。
保険約款及び法律の規定にしたがって判断されることになりますが、約款において、「被保険者の相続人に支払う。」旨の規定がある場合は、特段の事情のない限り、相続財産には含まれず、相続人の固有財産になります(最判S48.6.29)。
死亡退職金を受け取ることができる者(=受給権者)については、通常、法律、条例または退職金規程といった内規において、民法の規定する相続人の範囲・順位と異なる定めがなされているため、死亡退職金は、受給権者固有の権利として、相続財産には含まれないと考えます(最判S55.11.27、最判S58.10.14、最判S60.1.31)。
死亡退職金の支給規定のない財団法人において、被相続人である理事長の死後、同法人の理事会の決議により、被相続人たる理事長の配偶者に対して死亡退職金を支給する旨の決定がなされた場合について、「相続という関係を離れて被相続人の配偶者個人に支給されたもの」であるとして、相続財産には含まれないとした裁判例(最判S62.3.3)があります。
民599条では、借主の死亡によって使用貸借は終了すると規定されていますが、個別具体的な事情を踏まえて、同条の適用の有無を判断するのが判例・学説の立場であり、借主死亡の場合でも、使用貸借が存続することもあります。
具体例を挙げれば以下のとおりです。
遺産である建物に被相続人と同居していた相続人は、特段の事情のない限り、少なくとも遺産分割が終了するまでの間は、使用借主として、当該建物に居住することができます。
遺骨の所有権について、「原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて,本件遺骨は慣習に従って祭紀を主宰すべき者である被上告人に帰属したものとした原審の判断は,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。」と判示した判例(最判H1.7.18)があります。
香典は相続財産には含まれません。
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