清水誠治法律登記事務所

会社の倒産手続

会社の資産をすべて売却しても、債務を支払いきれない場合もあります。

いわゆる「債務超過」になっているケースです。

 

このような場合には、通常清算では処理ができません。破産手続や特別清算手続などの倒産手続で処理するしかありません。

特別清算とは?

「特別清算」は、会社が残っている会社資産だけでは債務をすべて支払うことができない可能性がある場合などに取られる方法です。

「特別清算」を行う際は、「特別清算」の申立てを裁判所にし、裁判所の監督の下で会社の清算を行います。

特別清算の流れ

株主総会の解散決議

株主総会の特別決議で会社の解散を決議します。

解散後は、取締役に代わって清算人が会社の管理を行うことになります。

清算人の職務内容

清算人の職務内容は次のとおりです。

    ・仕掛り等の残務を完了させる

    ・裁判所に特別清算の申立てを行う

    ・債権者に債権の届出をしてもらい、負債を確定させる

    ・裁判所の監督の下で会社資産の売却や回収を行う

    ・債務の弁済内容について協定案を作成し、裁判所に提出する

    ・協定が可決され裁判所に認可されたら、その内容に従って債権者に弁済を行う

債権の届出を求める官報公告

官報公告によって、債権者に会社の解散を知らせ、一定の期間内に債権申出(届出)を行うように求めます。

 

会社が認識している債権者には、個別に債権申出を求める通知を行います。

裁判所に特別清算の申立て

特別清算開始申立書に添付書類を添えて、本店所在地の地方裁判所に申立てを行います。

どんな書類を用意するのか

申立書のほかに、添付書類として次のような書類を用意します。

    ・会社の登記事項証明書(会社謄本)

    ・定款

    ・解散を決議した株主総会の議事録

    ・直近2~3年の決算書

    ・株主名簿

    ・債権者一覧表

    ・財産目録・清算貸借対照表

    ・清算人の履歴書

    ・債権者の特別清算申立てに対する同意書

    ・債権申出催告の官報公告の写

特別清算開始決定

債務超過などの特別清算の開始原因と、法律が定めるその他の要件も満たしていることが確認できたら、裁判所は特別清算開始決定を行います。

 

開始決定があると、そのことが官報に公告されるとともに登記も行われます。

負債額の確定

債権申出に基づいて、清算人が債権の存否と金額を調査します。

 

会社が認識している債権は、届出がなくてもカウントされます。

裁判所に協定案を提出

清算人が債権者との協定案を作成し、裁判所に提出します。

協定案とは

債務の処理方法について債権者と和解するために会社が作成する和解案です。

債権者集会で特殊な多数決によって決議され、可決されれば協定案に反対の債権者も拘束されるという点が、個別に個々の債権者と和解する方式と異なります。

債権者集会での協定案の決議と裁判所の認可

裁判所で開催される債権者集会において、会社が提出した協定案を承認するかどうかが決議されます。

 

協定案は、書面投票者を含む決議参加債権者の過半数、かつ、総議決権額の3分の2以上の賛成があれば可決されます。

協定案が可決された場合、裁判所は、一定の場合を除き協定を認める認可決定を出します。

協定の内容の実行

会社の提案した協定案が債権者集会で承認され、裁判所の認可決定も確定した段階で、会社は協定の内容どおりに債権者に支払いを実施します。

協定の内容どおりに支払うために、清算人は、会社に残っている売掛金などの債権を回収し、在庫や不動産などのすべての資産を売却して、支払資金を確保します。

裁判所の特別清算終結決定と終結の登記

協定の内容どおりに債務の支払いが完了したら、裁判所は、特別清算の終結決定を行います。

協定で残債務の免除が定められているため、この段階で会社の資産と負債は0の状態になっています。

 

特別清算終結決定が確定したら、特別清算終結の登記がされます。

破産とは?

「破産」で会社を清算する場合も、「特別清算」と同様に、「破産の申立て」を裁判所に行い、裁判所の監督下で清算を進めます。

「特別清算」と異なる点としては、破産手続を開始する際に裁判所が「破産管財人」を選任します。そしてこの破産管財人が会社の清算手続を行う点です。

「破産」と「特別清算」ではで利用件数としては「破産」が多くなっています。

「特別清算」には下記のようなデメリットがあるためです。

・支払内容について多数決による債権者の同意が必要であり、同意が得られなかった場合は改めて破産手続をとるしかなく二度手間になってしまう。

・一般の債権に優先する税金・社会保険料や労働債権が多額に上る会社の場合で、一般債権まで配当が回りそうにない時は特別清算手続が使えない。

・第三者である破産管財人が清算処理を行う破産手続と異なり、特別清算で清算手続を行うのは清算人となる会社経営者であるため、経営者が矢面に立たざるを得ない。

・特別清算は株式会社しか利用できない。

上記のような懸念や問題を回避する必要がある場合においては、特別清算ではなく破産手続を選択するしかなくなります。

会社の破産手続の流れ

廃業・従業員の解雇

破産を申立てる前に、まず、事業を廃止すると同時に従業員を解雇します。

受任通知の発送

会社から依頼を受けた弁護士が、債権者に対して会社が倒産し破産申立ての予定であることを通知する書面を発送します。この書面には、今後は代理人弁護士が窓口になることなども合わせて記載されます。

裁判所への破産の申立て

破産申立書に添付書類を添えて、本店所在地の地方裁判所に申立てを行います。

経営者の破産申立て

会社が金融機関から借入れをしている場合においては、経営者が連帯保証人になっているので、このような場合では会社の破産申立てと一緒に経営者の破産申立ても行うのが一般的です。

破産手続開始決定、破産管財人の選任

債務超過などの破産開始原因があることや予納金の納付があることなどを確認したら、裁判所は破産手続開始決定をします。また裁判所は同時に破産管財人を選任します。

開始決定があると、そのことが官報に公告されるとともに登記も行われます。

破産管財人による資産の換価回収など

破産管財人が、会社資産の売却や債権回収などを行って、会社のすべての財産を現金化します。

債権者集会

破産管財人から、会社の資産状況や管財業務の進捗状況などが債権者集会で、報告されます。

債権者への配当

破産管財人は、会社財産を処分した資金で、税金・社会保険料、未払給与・退職金などの労働債権、破産管財人報酬などの手続費用を支払い、これらの支払が終わった後にまだ現金が残っている場合は、一般の債権者に配当がおこなわれます。

破産手続終了の決定とその公告・登記

全ての会社資産の処分が終わり、その処分資金による支払いや配当が完了したら、裁判所は、破産手続を終了させる決定を行います。

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